米国の発注者が日本の化粧品OEMメーカーを探すときに意識していること
Publicado: 2026-05-21Autor: Equipo Editorial de OEM JAPAN
なぜ米国の発注者が日本の化粧品メーカーに注目するのか
近年、米国市場では「J-Beauty」と呼ばれる日本由来の化粧品カテゴリが、敏感肌対応・低刺激・自然由来成分への訴求軸として一定のシェアを確立しています。米国食品医薬品局(FDA)の化粧品施設登録ページによれば、2026年3月時点で米国市場に登録されている化粧品製造施設は14,000件を超え、海外製造者からの輸入比率も拡大基調にあります。
日本貿易振興機構(JETRO)の米国向け化粧品輸出Q&Aでも、米国バイヤーは日本のメーカーに対し、品質安定性・低刺激・成分エビデンスの3点を高く評価していることが示されています。一方で、2023年12月29日に施行されたMoCRA(Modernization of Cosmetics Regulation Act of 2022)により、米国向けに化粧品を製造する全ての国内外メーカーに新たな法的義務が生じており、米国バイヤー側もこの対応可否を最重要の選定基準にしています。
米国バイヤーが日本の化粧品メーカーに求める7つの観点
米国バイヤーが日本のOEMメーカーを評価する際、以下の観点が特に重視されます。
- MoCRA対応の意思と体制:FDAへの施設登録・製品リスト化に協力できるか、米国側のResponsible Personと連携できるか。
- ISO 22716または同等のGMP体制:FDAの化粧品法令ガイドでも、MoCRAに基づくGMP規則の整備が告知されており、ISO 22716認証は実質的な前提条件として扱われつつある。
- 全成分のINCI名(International Nomenclature of Cosmetic Ingredients)表記対応:米国ラベルはINCI名での全成分表示が必須。日本語名のままでは販売できない。
- 動物実験不実施の明確な宣誓:米国カリフォルニア州、ニューヨーク州など複数州で動物実験済み化粧品の販売規制が施行されており、バイヤーは原料・最終製品双方の不実施宣言を求めることが多い。
- 小ロット試作対応:D2Cブランドや独立系インディーブランドは、1,000〜3,000本程度から市場テストを行うため、最小ロット数の柔軟性が重視される。
- 英語での書類提供能力:CoA(Certificate of Analysis)、MSDS、Safety Data Sheetの英語版提供が必須。
- サプライチェーンの透明性:原料のトレーサビリティ、特に紛争鉱物(mica等)の供給源開示を求めるバイヤーが増加している。
法令・規制で発注者が気にする点
MoCRA(化粧品規制近代化法)
MoCRAは1938年の連邦食品医薬品化粧品法(FD&C Act)以来、化粧品分野におけるFDA権限の最大の拡張とされます。FDAの公式声明では、施設登録(Facility Registration)、製品リスト化(Product Listing)、責任者(Responsible Person)の指定、健康被害報告(Adverse Event Reporting)、安全性立証(Safety Substantiation)、GMP規則、香料アレルゲン表示が新たに義務化されたと整理されています。
JETROによれば、米国向けに化粧品を製造または加工する施設は、2024年7月1日までに施設登録および製品リスト化を完了する必要があり、新製品については市場投入後120日以内のリスト化が義務付けられています。施設登録は2年ごとの更新が必要です。
ラベル表示要件(21 CFR Part 701)
米国の化粧品ラベルは、製品名、内容量、製造者/包装者/配送者の名称と住所、全成分のINCI名表示が義務付けられています。FDA Cosmetics & U.S. Lawでは、誤解を招く表示(「FDA approved」等)の使用は禁止されると明示されています。
カラー添加物の許可リスト
FDAは化粧品に使用できる着色料を21 CFR Part 73、74、82でポジティブリスト化しています。日本で使用可能でも米国では未承認の色素があるため、バイヤーは全使用色素のFDA承認状況の事前確認を求めます。
カリフォルニア州 Prop 65
カリフォルニア州を経由する販売では、Prop 65(Safe Drinking Water and Toxic Enforcement Act of 1986)に基づく警告表示の有無を確認されます。鉛・カドミウム等の重金属、フタル酸エステル類などが対象です。
バイヤーが選定時に確認する書類・認証
米国バイヤーが日本のOEMメーカー選定時に提出を求める主な書類は以下の通りです。
- FDA Cosmetic Product Facility Registration Number:施設がFDA Cosmetics Directポータルに登録済みであることの証明。
- Cosmetic Product Listing確認:対象製品が製品リスト化済みであること。
- ISO 22716認証書:化粧品GMPの国際標準。MoCRAの GMP規則と整合性が高く、実質的な事前要件となっている。
- Safety Assessment Report(安全性評価書):Responsible Personが保管義務を負うが、製造側からの提供が一般的。日本化粧品工業会(JCIA)のガイドラインに準拠した評価書も評価対象になる。
- Certificate of Analysis(CoA、英語版):ロット単位の物性・微生物試験結果。
- 動物実験不実施宣誓書:Cruelty-Free認証(Leaping Bunny等)の併用も推奨。
- 原料のトレーサビリティ文書:紛争鉱物(micaなど)のサプライチェーン情報。
よくあるバイヤーからの質問
米国バイヤーから日本のOEMメーカーに対して頻繁に投げかけられる質問の代表例を、対応の方向性とともに整理します。
- "Are you registered as a Cosmetic Product Facility with FDA under MoCRA?":FDA施設登録番号の有無と、登録更新日を回答する。
- "Can you provide a Safety Assessment Report aligned with MoCRA Section 608?":MoCRA第608条のsafety substantiation要件に沿った形式での提供可否を明示する。
- "What is your minimum order quantity for export to the US?":MOQと、サンプル・パイロットロットの可否をUSD建てで回答する。
- "Do you hold ISO 22716 or an equivalent cosmetic GMP certification?":認証書のPDF添付と認証範囲の明示が望ましい。
- "Can your products be shipped under our US-based Responsible Person?":米国Responsible Personと連携可能か、その手順を回答する。
日本メーカーが備えておくべき準備
米国バイヤーからの引き合いに即応するため、日本のOEMメーカーが事前に整備しておくべき項目を整理します。
- FDA Cosmetics Directポータルでの施設登録:MoCRA下で米国向けに化粧品を製造する全施設に義務。FDAの公式ポータルから実施。費用は無料。
- ISO 22716認証の取得または取得計画の明示:未取得でも、取得スケジュールを提示することでバイヤーの懸念を緩和できる。
- 全製品のINCI名対応表整備:日本語原料名と国際INCI名の対応表を社内で標準化。
- Safety Assessment Reportの英語テンプレート整備:JCIAガイドラインまたはEU CPNP形式を流用すると、米国・EU双方に展開しやすい。
- CoA・MSDSの英語版テンプレート:ロット番号、製造日、試験項目(性状、微生物、重金属、pH等)を含む英語版を準備。
- 動物実験不実施宣誓の文書化:原料供給者からも同等の宣誓を取得し、二重に文書化。
- 米国Responsible Personパートナーの確保:米国法人を持たないメーカーは、米国側の輸入業者またはRP代行サービスとの連携体制を予め構築する。
Acciones que Puede Tomar Hoy
Basado en este artículo, aquí están los primeros pasos que debería dar.
- 1FDA Cosmetics Directポータル(https://cosmeticsdirect.fda.gov/)にアクセスし、自社施設の登録状況を確認する
- 2現在製造中の主要製品3〜5品目について、全成分のINCI名対応表を作成する
- 3ISO 22716認証取得の必要性を経営層と協議し、未取得の場合は取得スケジュールを策定する
- 4Safety Assessment Report・CoA・MSDSの英語版テンプレートを整備し、見積依頼への即応体制を整える
- 5米国Responsible Personを担えるパートナー候補(輸入業者・代行サービス)を3社以上リストアップする
Preguntas Frecuentes
- Q. MoCRAの施設登録は日本のメーカーも必要ですか?
- はい。FDAの化粧品施設登録は、米国向けに化粧品を製造または加工する全ての施設に義務付けられており、これには海外(日本含む)の施設も含まれます。登録はFDA Cosmetics Directポータルから無料で行え、2年ごとに更新が必要です。
- Q. ISO 22716の取得は必須ですか?
- MoCRA本文上は「ISO 22716取得が必須」とは明記されていませんが、FDAが策定するGMP規則はISO 22716を参考にしており、米国バイヤーは事実上の前提条件として要求してきます。未取得の場合は取得計画の提示が望ましいでしょう。
- Q. INCI名表記が必要なのは輸出時だけですか?
- 米国市場で販売される全ての化粧品ラベルにINCI名での全成分表示が必要です(21 CFR Part 701)。日本語名や慣用名のみのラベルは販売不可となるため、輸出向けに英語ラベルを別途作成する運用が一般的です。
- Q. Responsible Personは日本側でも務められますか?
- Responsible Personは米国住所を持つ法人または個人である必要があり、日本本社単独では務められません。米国に子会社や輸入業者パートナーを持つか、Responsible Person代行サービスを利用するのが一般的です。
- Q. 動物実験不実施の証明はどこまで必要ですか?
- 最終製品の不実施に加え、原料段階での不実施も問われます。カリフォルニア州・ニューヨーク州など複数州で動物実験済み化粧品の販売が規制されているため、原料供給者からも不実施宣誓を取得し、サプライチェーン全体での文書化が望ましいです。