EU/欧州の発注者が日本の食品OEMメーカーを探すときに意識していること
Publicado: 2026-05-21Autor: Equipe Editorial OEM JAPAN
なぜEUの発注者が日本の食品メーカーに注目するのか
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」を背景に、EU市場における日本食材・調味料・加工食品への需要は継続的に拡大しています。特に味噌・醤油・出汁系調味料・抹茶・発酵食品カテゴリでの伸びが顕著で、健康志向・植物性食品志向のEU消費者層に響いています。
農林水産省「農林水産物・食品の輸出促進」のデータでも、対EU食品輸出は重点市場として位置付けられています。一方でEUの食品規制は世界で最も厳格な体系の一つであり、EUバイヤーはGeneral Food Law (EC) 178/2002を頂点とする統合的な食品安全体系への適合と、Food Information to Consumers Regulation (EU) 1169/2011に基づくラベル要件を満たせるメーカーを選定の前提としています。
EUバイヤーが日本の食品メーカーに求める観点
EUバイヤーが日本の食品OEMメーカーを評価する際、特に重視される観点は以下の通りです。
- General Food Law (EC) 178/2002への適合:EU食品法の基本原則。トレーサビリティ、リスクベース管理、Rapid Alert System for Food and Feed (RASFF)への対応。
- HACCP・FSSC22000・BRCGS・IFS等のGFSI承認認証:EUバイヤー(特に大手小売・外食チェーン)の標準的なサプライヤー要件。
- FIC Regulation (EU) 1169/2011に基づくラベル要件:原材料表示、栄養成分表示、アレルゲン表示(Annex II の14種類)、原産国表示、生産者情報の正確な英語表記。
- Novel Food Regulation (EU) 2015/2283への対応:1997年5月15日以前にEU域内で顕著に消費されていなかった食品・原料は事前認可が必要。日本の伝統食材でもEU基準では「Novel Food」扱いになる場合がある。
- 食品添加物(EC No 1333/2008)の遵守:EUのポジティブリストに収載されていない添加物は使用不可。日本で使用可能でもEUでは未承認のケースに注意。
- 残留農薬MRL(EC No 396/2005)への適合:EU基準は日本基準より厳格な品目があり、特に茶葉・農産加工品で重要。
- 放射能関連の輸入規制対応:EUは2023年8月3日付で日本産食品の輸入規制を撤廃済み(健康証明書の要件も廃止)だが、状況の継続確認が必要。
- BIO(オーガニック)認証:EU有機認証(EU Organic Logo)への対応可否。
法令・規制で発注者が気にする点
General Food Law(EC No 178/2002)
EUR-LexのGeneral Food Law概要によれば、Regulation (EC) No 178/2002は2002年1月28日制定で、EU食品・飼料法の基礎となる規則です。同規則はEFSA(欧州食品安全機関)を設立し、食品安全に関する手続きを定め、人の健康と消費者利益の高水準の保護を保証する基盤を提供しています。事業者にはトレーサビリティの確保(原料の入庫先と出荷先の追跡)、RASFFを通じた重大事案の即時通報、リコール対応が求められます。
Food Information to Consumers Regulation(EU No 1169/2011)
FIC規則は2011年10月25日制定で、EU市場で販売される食品の表示要件を統一しています。必須表示項目は、製品名、原材料表示(重量順、加工助剤含む)、Annex II の14種類のアレルゲンの強調表示、内容量、賞味期限/消費期限、保管条件、製造者または輸入者の名称と住所、原産国(必要な場合)、栄養成分表示(100g/100mL当たり)です。アレルゲンは原材料表示の中で太字・下線・色違い等で強調する必要があります。
Novel Food Regulation(EU 2015/2283)
Regulation (EU) 2015/2283(EUR-Lex公式版)は、1997年5月15日以前にEU域内で顕著に消費されていなかった食品・原料を「Novel Food」と定義し、EU市場投入前にEFSAによる安全性評価と欧州委員会による認可を求めています。日本の伝統食材であっても、EU市場での消費実績がない場合は事前認可が必要となり、認可プロセスには通常2〜3年を要します。
食品添加物と原料規制
EUは食品添加物についてRegulation (EC) No 1333/2008のポジティブリスト制度を運用しており、収載されていない添加物は使用できません。同様にビタミン・ミネラルの栄養強化食品への添加はRegulation (EC) No 1925/2006で規制されています。日本で使用可能な原料でもEU側で未承認のケースが少なくありません。
放射能関連の輸入規制
EUは2011年の福島原発事故以降、日本産食品に放射能検査証明書を求める規制を実施していましたが、2023年8月3日付のCommission Implementing Regulation (EU) 2023/1453により対日輸入規制は完全撤廃されました。健康証明書の要件もこれと同時に廃止されています。
バイヤーが選定時に確認する書類・認証
EUバイヤーが日本の食品OEMメーカーに提示を求める主な書類は以下の通りです。
- FSSC22000、BRCGS、IFS、SQF認証書:GFSI承認スキームによる第三者認証。EU大手小売チェーンの標準要件。
- HACCP計画書(英語版):トレーサビリティ・予防管理を明示。
- Certificate of Analysis(CoA、英語):ロット単位の品質・微生物・残留農薬試験結果。
- 食品ラベル草案:FIC規則準拠の英語ラベル(原材料、アレルゲン強調、栄養成分、原産国、賞味期限等)。
- Novel Food該当性確認書:使用原料がNovel Foodに該当しないことの証明(該当する場合は認可番号)。
- 食品添加物のEU適合性チェック結果:Regulation 1333/2008のポジティブリストへの収載状況。
- 残留農薬・重金属・カビ毒試験結果:EU MRL(EC 396/2005)に対応した第三者試験結果。
- EU有機認証書(該当する場合):EU Organic Logoの使用許諾根拠。
よくあるバイヤーからの質問
EUバイヤーから日本の食品OEMメーカーへの代表的な質問は以下の通りです。
- "Do you hold a GFSI-recognised certification such as FSSC22000, BRCGS, or IFS?":認証名、認証機関、認証範囲、有効期限を即答。
- "Can your product be classified under any Novel Food category according to Regulation (EU) 2015/2283?":使用原料のNovel Food該当性チェック結果を提示。
- "Are all food additives compliant with Regulation (EC) No 1333/2008?":使用添加物のEU適合性チェック結果。
- "Can you provide a label draft compliant with Regulation (EU) 1169/2011, including allergen highlighting?":FIC規則準拠の英語ラベル草案。
- "What pesticide residue tests can you provide against EU MRLs?":第三者試験機関による EU MRL対応の試験結果。
日本メーカーが備えておくべき準備
EUバイヤーからの引き合いに即応するため、日本の食品OEMメーカーが事前に整備しておくべき項目を整理します。
- GFSI承認認証の取得:FSSC22000、BRCGS、IFS、SQFのいずれかを取得。EU大手小売の事実上の前提条件。
- HACCP計画の英語版整備:日本のHACCP(食品衛生法)計画をベースに、トレーサビリティ・予防管理を強化した英語版に再構成。
- FIC規則準拠ラベルテンプレートの整備:14種類のアレルゲン強調表示、栄養成分表示、原産国表示を含む英語ラベルテンプレート。
- Novel Food該当性チェック体制:使用原料について、1997年5月15日以前のEU市場での消費実績を社内データベース化。不確実な場合はEU Novel Food Catalogueで確認。
- 食品添加物のEU適合確認:全使用添加物のRegulation 1333/2008適合性を社内で文書化。
- EU MRL対応の試験体制:残留農薬・重金属・カビ毒を EU基準で試験できる試験機関を確保。
- EFSA・欧州委員会の規制動向モニタリング:DG SANTEとEFSAの発出する科学的意見・規制改正を月次モニタリング。
Ações que Você Pode Tomar Hoje
Com base neste artigo, aqui estão os primeiros passos que você deve dar.
- 1GFSI承認認証(FSSC22000・BRCGS・IFS・SQF)の取得状況を確認し、未取得の場合は取得計画を作成する
- 2主力製品3〜5品目について、使用原料をEU Novel Food Catalogue(https://food.ec.europa.eu/food-safety/novel-food/novel-food-catalogue_en)で該当性チェックする
- 3全使用食品添加物について、Regulation (EC) 1333/2008のポジティブリストへの適合性を社内で文書化する
- 4FIC規則(EU 1169/2011)準拠の英語ラベル草案を主力製品で作成し、14アレルゲンの強調表示を確認する
- 5DG SANTE(https://food.ec.europa.eu/)とEFSA(https://www.efsa.europa.eu/)をブックマークし、規制動向を月次モニタリングする社内担当者を指定する
Perguntas Frequentes
- Q. Novel Foodとは具体的にどんな食品が該当しますか?
- 1997年5月15日以前にEU域内で人間の食事として「significant degree」で消費されていなかった食品・原料が該当します。具体例として、昆虫由来食品、藻類、特定の植物由来新規原料(チアシード、ノニ等)、新規製法による食品が挙げられます。日本の伝統食材でも、EU側で実績がない場合は該当することがあり、認可に2〜3年を要するため、輸出前の該当性確認が極めて重要です。
- Q. FIC規則のアレルゲン表示と日本の特定原材料は同じですか?
- EU FIC規則 Annex IIの14種類(穀類のグルテン、甲殻類、卵、魚、ピーナッツ、大豆、乳、ナッツ類、セロリ、マスタード、ゴマ、二酸化硫黄/亜硫酸塩、ルピナス、軟体動物)と、日本の特定原材料(8品目、2025年4月以降)は重複しますが完全には一致しません。セロリ、マスタード、ルピナスなどはEU独自の対象です。EU向けラベルは EU基準で別途作成が必要です。
- Q. 放射能関連の輸入規制は撤廃されたのですか?
- はい。欧州委員会は2023年7月にCommission Implementing Regulation (EU) 2023/1453を採択し、2023年8月3日付で福島原発事故に関連する対日食品輸入規制を完全撤廃しました。これにより、健康証明書の添付要件も同時に廃止されています。
- Q. EU有機認証は必須ですか?
- オーガニック訴求を行う場合にのみ必要です。EU有機認証なしに「organic」「bio」「eco」等の表示はEU市場で禁止されています。日本のJAS有機との同等性は2010年に成立しており、特定品目は日本のJAS有機認証でEU市場でも有機表示が可能ですが、最新の同等性範囲を確認する必要があります。
- Q. Brexit後の英国向け輸出は同じ対応で良いですか?
- いいえ。英国はBrexit後に独自のFood Safety法体系(UK FIC等)を運用しており、ラベル要件・原産地表示・健康証明書のフォーマットがEU基準と分かれています。EU向け体制をベースに、英国独自の対応(UKラベル、英国側Importerの指定等)を追加する形になります。