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中小OEMメーカーの人材確保・育成ガイド|製造現場と営業の人手不足を解決する

公開日: 2026-02-26著者: OEM JAPAN 編集部

目次

  1. OEMメーカーが直面する人材課題の実態
  2. 製造現場の人材確保5つの対策
  3. 営業・事務の効率化3つの対策
  4. 採用力を高める情報発信
  5. 活用できる補助金・助成金
  6. 人手不足時代のOEMメーカー経営戦略
  7. 今日からできるアクション
  8. よくある質問

OEMメーカーが直面する人材課題の実態

製造業の人手不足は年々深刻化しています。厚生労働省の統計によれば、製造業の有効求人倍率は全産業平均の約1.5倍以上で推移しており、特に食品製造・化粧品製造の分野では慢性的な人材不足が続いています。

中小OEMメーカー特有の課題

大手メーカーと比較して、中小OEMメーカーには以下のような採用上のハンディキャップがあります。

  • 知名度不足:BtoBのOEMメーカーは一般消費者に知られておらず、求職者がそもそも会社の存在を知らない
  • 立地の問題:工場は工業地帯や郊外に立地していることが多く、通勤の利便性で都市部の企業に劣る
  • シフト勤務:製造業特有の早朝勤務・交替制が求職者に敬遠される
  • 「3K」のイメージ:「きつい・汚い・危険」という製造業のステレオタイプが若年層の応募を阻害
  • 待遇面の限界:大手と同水準の給与・福利厚生を提供することが難しい

人手不足が事業に与える影響

人手不足は単に「忙しい」という問題ではなく、OEMメーカーの成長そのものを阻害する深刻な経営課題です。

  • 受注機会の損失:製造キャパシティ不足で新規案件を断らざるを得ない。年間数百万〜数千万円の機会損失
  • 納期遅延のリスク:少ない人員でフル稼働するため、突発的な欠勤や繁忙期に対応できない
  • 既存社員の疲弊:残業増加・休日出勤により、ベテラン社員が離職→さらに人手不足が加速する悪循環
  • 品質リスク:疲労や慣れない作業者の増加により、品質トラブルの発生率が上昇

「受注を増やしたいのに、作る人がいない」——これは多くの中小OEMメーカーが直面しているジレンマです。以下では、この課題に対する実践的な解決策を紹介します。

製造現場の人材確保5つの対策

① 外国人材の活用

食品製造業・化粧品製造業では、技能実習制度および特定技能制度を活用した外国人材の受入が広がっています。

  • 技能実習:最長5年。監理団体を通じてベトナム、インドネシア、ミャンマー等から受入。食品製造業では加熱処理、非加熱処理等の作業が対象
  • 特定技能:飲食料品製造業が対象分野に含まれ、即戦力としての就労が可能。技能実習からの移行も増加中
  • コミュニケーション対策:作業手順書の多言語化(やさしい日本語+母国語)、写真・動画マニュアルの作成、日本語学習支援

② 製造工程の自動化・省人化

人を増やすのではなく、人がやらなくてよい作業を機械に置き換えるアプローチです。投資対効果が高い工程から段階的に導入するのが現実的です。

  • 計量工程:自動計量機の導入で作業者1〜2名削減可能
  • 充填・包装工程:半自動充填機、自動包装機で省人化
  • 検品工程:画像検査AIの活用で目視検査の負荷軽減

③ 教育機関との連携

地元の工業高校・農業高校・食品系専門学校・短大とのインターンシップや工場見学を通じて、早期に自社の存在を認知してもらう取り組みが有効です。実習受入をきっかけに新卒採用につながるケースも多くあります。

④ 繁閑差への対応

  • 繁忙期のみの派遣活用:製造派遣に強い人材会社と連携し、繁忙期の増員を確保
  • メーカー間の人材シェアリング:近隣の製造業者と繁忙期をずらし、閑散期の従業員を相互に融通する取り組みも一部地域で始まっている

⑤ 多能工化の推進

1人が1つの工程しかできない「単能工」体制は、人手不足時に極めて脆弱です。1人が複数工程をこなせる「多能工」体制を構築しましょう。

  • スキルマップを作成:従業員×工程のマトリクスで、誰がどの工程をできるか一覧化する
  • 計画的なジョブローテーションで、半年〜1年かけて多能工を育成する
  • 多能工手当(月額5,000〜20,000円程度)を設けてモチベーションを維持する

営業・事務の効率化3つの対策

人手不足は製造現場だけの問題ではありません。営業・事務部門の人員が限られる中小メーカーにとって、これらの業務をいかに効率化するかも重要な課題です。

① 見積・営業のテンプレート化

営業活動における定型業務を徹底的にテンプレート化することで、1件あたりの対応時間を大幅に短縮できます。

  • 見積書テンプレート:製品カテゴリ別の標準価格表を整備し、ロット別の価格を即座に提示できるようにする
  • 提案書テンプレート:会社概要、設備紹介、品質管理体制を盛り込んだ基本テンプレートを作成し、案件ごとに該当部分だけをカスタマイズする
  • メール返信テンプレート:問い合わせの初回返信、見積送付、フォローアップなど、頻出するメールのテンプレートを用意する

これらのテンプレートを整備するだけで、営業担当者1人あたり週5〜10時間の業務時間を削減できるケースもあります。

② 営業活動のデジタル化

従来の飛び込み営業・展示会中心の営業スタイルから、デジタルを活用した効率的な営業へ転換します。

  • CRM(顧客管理システム)の導入:見込顧客の管理、商談の進捗追跡、フォローアップのリマインダー。無料〜月額数千円で始められるツールも多い
  • オンライン商談:Zoom・Google Meetを活用し、移動時間をゼロに。遠方の発注者にも低コストでアプローチ可能
  • メール自動化:問い合わせへの自動返信、定期的なフォローアップメールの自動送信で、「対応漏れ」を防止

③ マッチングプラットフォームの活用

最も即効性のある営業効率化策が、マッチングプラットフォームの活用です。

  • 営業人員ゼロでも新規案件を獲得:プラットフォームにプロフィールを掲載するだけで、24時間365日、全国の発注者からの問い合わせを受けられる
  • 質の高いリード:プラットフォーム経由の問い合わせは、すでにOEMメーカーを探す意思が明確な発注者からのもの。営業が見込客を探す手間が省ける
  • 営業コストの劇的削減:展示会1回の出展費用(100〜300万円)と比較して、プラットフォーム掲載は無料〜月額数万円。費用対効果は圧倒的

「営業担当を雇う余裕がない」という中小メーカーにとって、プラットフォームは「24時間働く営業マン」に相当します。掲載プロフィールの充実度が問い合わせ数を左右するため、自社の強み・実績・対応可能な製品を具体的に記載することが重要です。

採用力を高める情報発信

中小OEMメーカーの採用における最大の課題は「そもそも知られていない」ことです。知名度がなければ求職者の応募先候補にすら入りません。情報発信を通じて、自社の認知度と魅力を高める取り組みが不可欠です。

自社サイトの「採用ページ」の整備

求職者は応募前に必ず企業のWebサイトを確認します。採用ページがない、または情報が薄いメーカーは、それだけで応募候補から外される可能性があります。

  • 募集要項(仕事内容、給与、勤務時間、休日、福利厚生)を明確に記載する
  • 写真を多用する:工場の様子、実際の作業風景、休憩室、社員の笑顔など。求職者は「自分がここで働く姿」をイメージしたい
  • 「先輩社員の声」や「1日の仕事の流れ」を掲載し、入社後のイメージを具体化する
  • 応募方法をわかりやすく記載し、電話・メール・フォームなど複数の応募手段を用意する

SNSで工場の日常を発信

特に若年層の採用には、SNSでの情報発信が最も効果的です。

  • Instagram:製造の様子、完成品の写真、社員紹介、工場の日常を投稿。ハッシュタグ「#食品工場」「#製造業」「#工場で働く」等を活用
  • TikTok:15〜60秒の短尺動画で製造の様子を紹介。「ものづくりの裏側」系のコンテンツは若年層の関心が高い。再生数が伸びやすいテーマとして「○○ができるまで」「工場ルーティン」などが有効
  • YouTube:工場見学動画、社員インタビュー、技術紹介動画。採用だけでなく営業にも活用できる

「食品を作る仕事のやりがい」を伝える

「きつい仕事」というネガティブイメージを払拭するためには、仕事の魅力・やりがいを積極的に発信することが大切です。

  • 「自分が作った商品がスーパーに並ぶ喜び」
  • 「有名ブランドの商品を実は自社で作っている」というOEMならではの誇り
  • 「新商品の開発に携われる面白さ」
  • 「食を通じて人々の生活を支えている」という社会的意義

地域への認知度向上

  • 工場見学の受入:地元の学校や自治体のイベントとして工場見学を実施
  • 地元イベントへの参加:地域の産業フェア、就職フェア、商工会イベントに出展
  • 地元メディアへの露出:地方紙やケーブルテレビの取材を受けることで、地域での認知度を高める

活用できる補助金・助成金

人材確保・育成・設備投資に関連する公的な補助金・助成金は多数あります。申請の手間はかかりますが、自己負担を大幅に軽減できるため、積極的に活用しましょう。

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)

  • 概要:中小企業が革新的な製品・サービス開発や生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援
  • 対象:自動化設備、省人化設備、検査機器等の導入
  • 補助率:中小企業は1/2〜2/3、補助上限額は750万〜3,000万円(申請枠による)
  • ポイント:「省人化」「生産性向上」を明確にした事業計画がカギ。採択率は約40〜50%

キャリアアップ助成金

  • 概要:非正規雇用労働者を正社員に転換した場合などに支給される助成金
  • 正社員化コース:有期雇用→正規雇用への転換で1人あたり57万円(中小企業の場合)
  • 活用例:パート・契約社員として採用し、適性を見た上で正社員転換する場合に活用

人材開発支援助成金

  • 概要:従業員の職業訓練・スキルアップにかかる経費と賃金の一部を助成
  • 対象:OJT、Off-JT(外部研修)、eラーニング等
  • 助成率:経費の最大75%、訓練期間中の賃金の最大60%を助成(中小企業の場合)
  • 活用例:食品衛生管理者研修、フォークリフト免許取得、品質管理研修などの費用に適用

外国人材受入に関する助成制度

  • 外国人労働者就労環境整備助成金:外国人労働者向けの就労環境整備(翻訳機器、多言語マニュアル作成、社会保険手続きの多言語化等)に対して、経費の最大2/3(上限57万円)を助成
  • 自治体独自の支援:外国人材の住居確保支援、日本語教育支援等を行う自治体もある。地元の商工会議所や自治体の産業支援窓口に相談が有効

申請のポイント

  • 公募期間は限られているため、中小企業庁や厚生労働省のサイトを定期的にチェックする
  • 申請書類の作成が難しい場合は、商工会議所や中小企業診断士に相談する(多くの場合、相談は無料)
  • 採択後の報告義務があるため、経費の証拠書類(請求書、領収書、勤怠記録等)は確実に保管する

人手不足時代のOEMメーカー経営戦略

人手不足は今後さらに深刻化することが確実です。日本の生産年齢人口は2050年には現在の約70%にまで減少すると予測されています。この構造的な変化に対応するためには、「人を増やす」だけでなく、経営そのものを変革する発想が必要です。

「全部自社でやる」からの脱却

すべての工程を自社で行おうとすると、それだけ多くの人員が必要になります。「自社が得意な工程に集中し、それ以外は外部に委託する」という発想の転換が求められます。

  • 自社のコア工程(最も付加価値の高い工程、品質の差が出る工程)を特定する
  • 包装・ラベリング・物流など、外部委託しても品質に影響が少ない工程はアウトソーシングを検討する
  • 自社のリソースを「最も利益を生む工程」に集中させる

協力工場ネットワークの構築

自社だけでは対応しきれない案件を、信頼できる協力工場に分担する体制を整えましょう。

  • 同業種の中小メーカーと相互に仕事を紹介し合う関係を構築する
  • 自社が得意でない製品カテゴリの案件は、得意なメーカーに紹介し、逆に自社の得意分野の案件を紹介してもらう
  • 協力工場を持つことで、繁忙期の受注キャパシティを拡大できる

付加価値の高い案件への選択と集中

人員が限られる中で売上と利益を最大化するには、「何を受けるか」より「何を断るか」が重要です。

  • 利益率の高い案件に集中:単価が低い大量生産よりも、付加価値の高い小〜中ロット案件を優先する
  • 自社の専門性を活かせる案件を選ぶ:不得意な分野の案件を無理に受けず、得意分野で勝負する
  • 継続取引が見込める案件を優先:スポット案件よりも、定期的にリピートが見込める案件を重視する

プラットフォーム活用で営業コストをゼロに

人手不足の中、営業に人員を割く余裕がないメーカーにとって、マッチングプラットフォームの活用は最も合理的な経営判断です。

  • 営業担当者を雇用する年間コスト(500〜700万円)をゼロに近づけられる
  • 浮いた人件費を製造現場の人員確保や設備投資に振り向けられる
  • プラットフォーム経由で案件を選別し、自社に最適な案件だけを受注する「選ぶ経営」が可能に

人手不足時代のOEMメーカー経営は、「できることを増やす」のではなく「得意なことに集中する」ことが鍵です。限られた人材と経営資源を最も効果的に活用し、少数精鋭で高い付加価値を生み出す体制を目指しましょう。

今日からできるアクション

この記事の内容を踏まえて、まず取り組むべきアクションをまとめました。

  1. 1現在の人員構成と各工程の必要人数を一覧にし、最もボトルネックとなっている工程を特定する
  2. 2地元のハローワーク・工業高校・専門学校に連絡し、インターンシップや見学会の可能性を打診する
  3. 3自社サイトに採用ページがなければ、写真付きの簡単な採用情報ページを作成する
  4. 4ものづくり補助金・人材開発支援助成金の最新公募情報を中小企業庁サイトで確認する

よくある質問

Q. 外国人材を受け入れるにはどのくらいの費用がかかりますか?
技能実習の場合、監理団体への費用として月3-5万円/人程度が一般的です。加えて渡航費、住居費の負担が必要です。特定技能は登録支援機関への委託費が月2-3万円/人程度です。受入初年度はコストがかかりますが、2年目以降は戦力として定着するケースが多いです。
Q. 製造ラインの自動化にはどのくらいの投資が必要ですか?
導入する工程によりますが、計量・充填ラインの半自動化で300-800万円、検品工程のAI化で500-1,500万円程度が目安です。ものづくり補助金を活用すれば最大1/2〜2/3の補助を受けられます。まずは最もボトルネックとなっている工程から段階的に導入するのが現実的です。
Q. 人手不足でも新規受注を増やす方法はありますか?
はい。マッチングプラットフォームを活用すれば、営業人員をかけずに問い合わせを獲得できます。また、小ロット案件を避けて大口案件に集中する、付加価値の高い案件を選ぶ、など「受注の質」を上げることで、少ない人員でも売上を維持・向上できます。
Q. 若い人材に製造業の魅力を伝えるにはどうすればよいですか?
SNSでの工場日常発信が最も効果的です。特にTikTokやInstagramのリール動画で製造の様子を見せると、若年層の関心を引けます。「きつい仕事」ではなく「ものづくりのやりがい」「食品・化粧品が完成する過程の面白さ」を発信しましょう。

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